『ハートブレイク・リッジ/勝利の戦場』
1986年アメリカ
原題:Heartbreak Ridge
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ジェームズ・カラバトソス
音楽:レニー・ニーハウス
主演:クリント・イーストウッド
『ハートブレイク・リッジ/勝利の戦場』イントロダクション
アメリカ海兵隊の軍曹トム・ハイウェイ(クリント・イーストウッド)は朝鮮戦争をはじめ数々の戦場を渡り歩いた経歴を持つ猛者だったが、今は警察の留置所に入れられていた。
酔っぱらってけんかした挙句、警察のパトカーに放尿したのだ。
檻のなかでも武勇伝をと腕っ節の強さを披露するハイウェイは、朝鮮戦争のときに与えられた名誉勲章に免じて罰金100ドルで放免となる。
そのハイウェイに、ノースカロライナ州のキャンプ・レジューン・・・第二海兵師団第二偵察大隊第二偵察小隊に行くよう事例が下る。
そこはハイウェイの古巣だった。
ハイウェイはバスで赴任先へ向かうが、途中で自称「ロックンロールの帝王」という黒人青年スティッチ(マリオ・ヴァン・ピーブルズ)が隣席になる。
絶え間なく軽口をたたくスティッチに、ドライブインでの休憩中に食事代を持ち逃げされ、バスにも置いてけぼりを食わされる。
キャンプ・レジューンに到着したハイウェイを迎えるのはかつて戦場でともに生き残ったチューズー曹長(アーリン・ディーン・スナイダー)だったが、上官は士官学校卒業で実戦経験のない中隊長、パワーズ少佐(エヴェレット・マッギル)で、初手からパワーズは素行の悪いハイウェイを目の敵にする。
おまけにハイウェイが担当する小隊はこれまた戦闘未経験で、生活態度も服装もだらけきった兵士たちだった。
その中にはあのスティッチの姿もあった。
ハイウェイはパワーズに睨まれながらも、彼らを一人前の海兵隊員として戦えるように鍛えなおすことを決意する。
訓練開始の前夜、パブでハイウェイは前妻のアギー(マーシャ・メイソン)と偶然再会する。
彼女はそこで店員として働いていたのだった。
アギーとの仲を修復したいハイウェイだったが、アギーにはハイウェイに対する過去の怒りしかなかった。
またハイウェイは、その店でトラブルを起こしたスティッチをかばって店主と揉め、ハイウェイとスティッチは店を追い出されてしまう。
そして翌朝。
鬼軍曹ハイウェイの有無をも言わさぬ猛特訓が始まる・・・!
鬼軍曹が落ちこぼれの兵士たちを鍛え上げていくユーモアあふれる傑作!『ハートブレイク・リッジ/勝利の戦場』
歴戦の勇士で頑固者のベテラン軍曹が、落ちこぼれの兵士たちを鍛え上げていく姿を、絶妙のユーモアで描くクリント・イーストウッド監督・主演の傑作アクション映画。
物語後半は実際に起きたグレナダ侵攻(1983年にカリブ海に浮かぶ島国グレナダでクーデターが起きた際、アメリカ軍および東カリブ諸国機構および、バルバドス、ジャマイカの軍が侵攻した事件)がモチーフになっている。
当初この作品はアメリカ陸軍に協力を依頼したが、主人公ハイウェイが飲んだくれの離婚経験者、訓練中に無許可でAK-47をぶっぱなすような破天荒な設定だったため、陸軍は協力を断った。
陸軍からの協力を断られたイーストウッド監督は今度は海兵隊に脚本を持ち込み、今度は快諾され、ハイウェイの設定が陸軍から海兵隊員に変更された。
けして大げさな茶化しやギャグがあるわけではないのだが、絶妙のユーモアがあふれる今作は、戦争アクション映画としては少々異質な存在かもしれない。
完成したフィルムを見たときに、最初は好意的だった海兵隊の態度が変わったというのも分かる。
こちらの作品もどうぞ!
≫映画評『マディソン郡の橋』イーストウッドとメリル・ストリープの、大人のメロドラマ
コメント