映画評『花のあと』男勝りの剣の腕を持つ武士の娘が、密かに恋い慕う剣士が陰謀にはまり自決したことを知り、敵討ちに立ち上がる姿を描く、北川景子主演の時代劇

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『花のあと』
2010年東映
監督:中西健二
脚本:長谷川康夫
   飯田健三郎
原作:藤沢周平
音楽:武部聡志
出演:北川景子
   甲本雅裕
   宮尾俊太郎
   相築あきこ
   佐藤めぐみ
   市川亀治郎
   伊藤歩
   榎本明
   國村隼
   藤村志保(語り)

『花のあと』イントロダクション

時は江戸時代、東北の小藩、海坂藩。

年老いた以登(声:藤村志保)が50年ほど昔の、自分が若かりしころを振り返り、孫たちに話して聞かせる。

当時の藩主、雲覚院は、桜の季節になると、家中の女子供は言うに及ばず、隠居、部屋住み、非番の武士たちにまで二の丸への立ち入りを許可するのが恒例となっていた。

酒こそ禁じられていたものの、二の丸での花見は、いわば無礼講のようなものであり、人々は思い思いに掘り沿いに咲き誇る桜を眺めていた。

この花見には、お忍びで雲覚院が現れては若い娘を物色しているという噂があり、娘を花見に出すのを控える家もあるほどだった。

そんなお堀の花見に、若き日の以登(北川景子)がお供を連れてやってくる。

以登は幼いころから、組頭を務める父、甚左衛門(國村隼)から剣術を叩き込まれており、その腕前はそんじょそこらの男たちに引けを取るものではなかった。

花見を終えて、帰途に着こうとした以登に、声をかける男があった。

若き藩士、江口孫四郎(宮尾俊太郎)であった。

孫四郎は、以登と同じく羽賀道場で剣術を学んでおり、その腕前は道場一とうたわれていた。

孫四郎はいずれ以登と手合わせをしたいと望んでいた。

以登もまた、同様に思っていた。

ふたりはいつか手合せすることを約束すると、二の丸をあとにした。

後日、以登は甚左衛門に頼み込み、いちどだけ孫四郎と手合わせをする機会を得る。

竹刀を交える二人。

以登は孫四郎に負けてしまうが、自分を女と侮らず真剣勝負をしてくれた孫四郎に、初めての恋心を抱く。

だが、甚左衛門は二度と孫四郎にあってはならないと言いつける。

以登にはすでに甚左衛門が決めた許嫁の片桐才助(甲本雅裕)がおり、孫四郎にも近く縁談が決まりそうになっていたのだった。

さて以登の許嫁の才助はといえば、4年前から学問のため江戸に出ており、周りの者から見れば「どうみても切れ者という感じではない」という凡人。

ようよう江戸から帰ってきたが、以登の家によりついては飯をたらふく食らってはニコニコして緊張感に欠ける。

以登はそんな才助をやや呆れながら相手をしていた。

そんなおり、江戸から早馬が駆けつけ、孫四郎の訃報を知らせてきた。

以登は甚左衛門からその報せを聞き、愕然とする・・・。


男勝りの剣の腕を持つ武士の娘が、密かに恋い慕う剣士が陰謀にはまり自決したことを知り、敵討ちに立ち上がる姿を描く、北川景子主演の時代劇『花のあと』

『たそがれ清兵衛』や『蝉しぐれ』など名作時代劇で知られる藤沢周平の同名短編小説を、本作が時代劇初挑戦となる北川景子の初主演で映画化。

江戸時代の東北の小藩を舞台に、男も顔負けの剣の才能を持つ武家の娘が、初恋の人の不可解な死の真相とその裏側に潜む藩を揺るがす陰謀に迫る姿を描く。

全体に派手さはないものの、主人公の恋路や人間ドラマ、藩を揺るがす陰謀とクライマックスの剣劇など、必要なパーツはしっかりと組み込んであり抜かりはない。


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