映画評『時をかける少女』原田知世、デビュー!

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『時をかける少女』
1983年角川
監督:大林宜彦
原作:筒井康隆
脚本:剣持亘
音楽:松任谷正隆
出演:原田知世
   高柳良一
   尾美としのり

『時をかける少女』イントロダクション

高校一年生の芳山和子(原田知世)は学校のスキー教室に来ていた。

火祭りの開始前、クラスメートたちとは少し離れた場所、ゲレンデで幼馴染の堀川吾郎(尾美としのり)と話をしているが、そこにふいに同級生の深町一夫(高柳良一)が現れる。

3人そろってクラスの集合場所に戻り、スキーを開始しようとするが、なぜだか一夫のスキーセットだけが見当たらなかった。

新学期を迎え、4月16日の土曜日。

和子と吾郎と一夫は放課後の当番で、理科教室の掃除をする。

あらかたの掃除が終わったところで、和子は吾郎と一夫にカバンを取りにいかせる。

ひとり片づけをする和子の耳に、無人のはずの隣の実験室から物音が聞こえた。

恐る恐る実験室に入る和子。

すると床には落ちたフラスコと、そこからこぼれた液体から白い煙が漂っていた。

煙を嗅いだ和子は、気を失い倒れてしまう。

カバンを取って戻ってきた吾郎と一夫が倒れた和子をみつけ、保健室に運んだ。

クラス担任の立花先生(根岸季衣)は貧血だろうと言う。

高校教師で実験室に鍵を付けた福島先生(岸部一徳)も心配している。

目を覚ました和子は、実験室で起きたことを話すが、吾郎も一夫も、そんな形跡はなかったという。

吾郎、一夫、二人の先生と共に和子は理科実験室に確かめに行くが、実験室はきれいになっていた。

不思議に思いながらも和子、吾郎、一夫は下校する。

吾郎と別れたのち、途中寄り道した一夫の家で、和子は理科事件室で嗅いだのと同じ香りがするのに気が付いた。

香りは一夫の家の温室からで、ラベンダーの花の香りだった・・・。

原田知世、デビュー!『時をかける少女』

『時をかける少女』は筒井康隆原作のジュブナイル小説で、大林宜彦が監督を務め、そして何より重要なことは、原田知世の主演デビュー作だ。

原田知世はこの作品で第7回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。(その時のグランプリは渡辺典子)

原田知世は1982年に中学三年生で「角川映画大型新人募集」に応募して特別賞を受賞、14歳で芸能界入りする。

『時をかける少女』はその翌年に公開された。

今見ても清々しく、かわいらしい、永遠の妹キャラがそこにいた。

プロデューサー角川春樹と監督・大林宜彦はこの原田知世にぞっこん惚れ込んでしまい、彼女のためだけに一本の映画を企画した。

それがこの『時をかける少女』だ。

製作費1億数千万は角川春樹のポケットマネーから出されたという。

興行収入は28億だというから大成功もいいところだ。

また主題歌も原田知世が歌ったのだが、作詞作曲が松任谷由美。

これも今聞いても初々しくも耳に残る名曲、1980年代のナンバーワン・アイドルソングだ。

セールス累計58万7千枚を売り上げ、オリコンシングルでは最高2位を記録する。

ちなみに本作で音楽を担当した松任谷正隆は松任谷由美の旦那さんである。

映画は公開されるや否や、多くの青少年がスクリーンの美少女のとりこになり、1983年の邦画興行成績で2位となる。

また批評家からは大した評価は得られなかったが、読者が選ぶベストテンでは堂々の第3位。

大林ファンからは尾道三部作(一作目が『転校生』、二作目がこの『時をかける少女』、三作目が『さびしんぼう』)ととして知られる通りの瀬戸内海の広島県尾道の詩情あふれるノスタルジックな風景と、原田知世の清々しく初々しい魅力が、ミラクル合体、マジックを生み出したのである。

このマジックはそうそう起きるものではない。

いまでもこの『時をかける少女』が美少女アイドル映画の金字塔として輝き、このタイトルが何度もリメイクされる魅力を持っているのを見れば、それがわかるだろう。

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