『夕日のガンマン』
1965年イタリア・スペイン
原題: For a Few Dollars More
監督:セルジオ・レオーネ
脚本:セルジオ・レオーネ
ルチアーノ・ヴェンツェンツィオーニ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:クリント・イーストウッド
リー・ヴァン・クリーフ
ジャン・マリア・ヴォロンテ
『夕日のガンマン』イントロダクション
賞金稼ぎのダグラス・モーティマー大佐(リー・ヴァン・クリーフ)は、1000ドルの賞金首を仕留め保安官事務所で賞金を受け取る際、一万ドルの賞金首インディオ一味が近くにいることを知らされる。
インディオ一味に狙いを絞るモーティマーだったが、2000ドルの賞金首を仕留めた賞金稼ぎのモンコ(クリント・イーストウッド)もまたインディオ(ジャン・マリア・ヴォロンテ)一味を狙っていた。
とある町で出会った二人は、最初は張り合うが、その腕を認めあう。
モンコとモーティマーは手を組み、賞金を山分けすることにする。
そのころインディオ一味は顔なじみの悪党グロッギー(ルイジ・ピスティッリ)とともにエルパソ銀行を襲撃しようとたくらんでいた。
インディオ一味の情報を得るために、モンコとモーティマーは潜入作戦を考える。
モンコがかつて刑務所からインディオの仲間を脱獄させたことがあり、その恩を売ることで、モンコがインディオ一味に潜入することに成功する。
インディオは追ってくる保安官をまくために、モンコたちに別の銀行を襲撃するように命令する。
だがモンコは途中でインディオの手下を殺し、保安官たちにエルパソ銀行が襲撃されることを知らせる。
しかし、保安官たちが銀行に到着する前に、インディオは銀行から金庫を奪って逃走してしまった・・・。
マカロニウエスタン“ドル箱3部作”の2作目『夕日のガンマン』
マカロニウエスタンの名匠セルジオ・レオーネによる“ドル箱3部作”うちの2作目が『夕日のガンマン』である。
(1作目は『荒野の用心棒』(1964年)、3作目は『続・夕日のガンマン』(1966年))
『荒野の用心棒』の大ヒットでその腕を認められたセルジオ・レオーネが、独自のスタイルを確立し、名実ともにマカロニウエスタンの巨匠となった。
マカロニウエスタンはそもそも、1960年代から1970年代にかけて、アメリカ以外の土地でアメリカ人以外の役者で撮られた西部劇のことであり、おもにイタリアで製作されたものが多いことから“マカロニ”の名を冠された和製英語である。
『荒野の用心棒』は黒澤明監督の『用心棒』(1961年)の翻案であり、低予算で製作されたがイタリア本国のみならず世界的な大ヒットとなり、マカロニウエスタン・ブームの火付け役となる。
『荒野の用心棒』の大成功を受け、イタリア映画界はその後、ヨーロッパ全土でマカロニウエスタンを量産するようになり、レオーネ自身も新作に取り掛かることになる。
『夕日のガンマン』は予算も大幅にアップし、スペインのアルメリア地方で撮影された。
本作品の撮影にあたり砂漠に作られたエルパソの町並みのセットは現存しており、ミニ・ハリウッドと呼ばれる観光名所になっている。
『荒野の用心棒』で得た3者対立の構図の面白さは『夕日のガンマン』でも生かされており、それはさらに洗練され、ハリウッドの大作志向を目算に入れた『続・夕日のガンマン』に発展していく。
本作『夕日のガンマン』では主人公二人の凄腕ガンマンぶりを堪能できる演出が盛りだくさんなほか、レオーネ監督ならではのロマンティックな仕掛けも楽しむことができる。
そのロマンティックな仕掛けに一役買っているのが音楽のエンニオ・モリコーネだ。
エンニオ・モリコーネも音楽でドル箱3部作に参加しており、口笛の印象的なマカロニウエスタン・ミュージックのスタイルを確立した。
三作に主演したクリント・イーストウッドは言わずもがなで、アメリカ本国に凱旋後も西部劇のヒーローとなる。
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