映画評『デューン/砂の惑星』鬼才デヴィッド・リンチによる伝説のカルトSF映画

カチンコ 映画評
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『デューン/砂の惑星』
1984年アメリカ
原題:Dune
監督・脚本:デヴィッド・リンチ
原作:フランク・ハーバート
音楽:ブライアン・イーノ
   TOTO
主演:カイル・マクラクラン

『デューン/砂の惑星』イントロダクション

10191年、皇帝シャッダム4世が宇宙を統治していた。

このとき最も貴重な物質とされていたのは香料(スパイス)メランジで、この香料は寿命を延ばし、意識を拡張させ、宇宙の航行に欠かせない物質だった。

この香料で突然変異した航宙ギルドの航宙士は、スパイス・ガスで宇宙空間を折りたたむ力を手に入れ、そのため自らは動くことなく、宇宙のどこへでも行ける存在となった。

そのため航宙ギルドは絶大な権力を保持しており、皇帝シャッダムと言えどもおいそれと対抗できなかった。

そして香料が存在するのは全宇宙でただ一つの星、荒涼とした砂漠が広がる乾いた惑星だけだった。

その惑星の奥地の岩場には地元民フレメンが隠れ住んでおり、長いあいだある予言を信じ続けていた。

いつか救世主が現れ、彼らを真の自由に導く、と。

惑星の名はアラキス。

またの名を砂の惑星デューン・・・。

伝説のSFカルト映画『デューン/砂の惑星』

舞台設定は前述のイントロダクションの通りで、ここに主人公ポール・アトレイデスの一族がからんで複雑な勢力争いが繰り広げられる。

監督は鬼才デヴィッド・リンチ。

『イレーザーヘッド』『ツインピークス』でも名をはせる、独自の世界観を持つクセの強い監督だ。

原作の「砂の惑星」シリーズもカルト的で難解なSF大河小説。

それだけに、映像化は大変困難であるとされた。

じっさい、デヴィッド・リンチのこの『デューン/砂の惑星』が製作される前に、アレハンドロ・ホドロフスキーという、これまた知る人は知るカルトな監督の手によって一度映画化が試みられている。

このホドロフスキーの「デューン」は、建造物デザインに『エイリアン』のH.R.ギーガー、音楽はフランスのプログレバンド、マグマのメンバーであるクリスチャン・ヴァンデ、絵コンテにジャン・ジロー(フランスのマンガ家。メビウス、といったほうが通りはいいか)、役者陣にオーソン・ウェルズやサルバドール・ダリを迎えるなど、相当な力の入れようで製作が途中まで進んだが、残念ながら日の目を見なかった。

このホドロフスキーの「デューン」が完成していたら、のちのSF作品に与えた影響もまた違ったものになったに違いない。

ちなみに2013年に、このホドロスフスキーの「デューン」のメイキングを映画化した、その名も『ホドロフスキーのDUNE』が公開されている。

このホドロフスキーの「デューン」に負けじと、デヴィッド・リンチの『デューン/砂の惑星』もなかなかの顔ぶれ。

音楽にはアンビエント・ミュージック界の重鎮ブライアン・イーノ、主題歌にロックバンドTOTOを迎え、主人公の敵役には、まだ髪の毛がフサフサのころのミュージシャン、スティングが登場。

個人的にはスタートレックシリーズでピカード艦長を演じたパトリック・スチュワートが出演しているのもポイントが高い。

こういった顔触ればかりではなく、デイヴィッド・リンチの個性がさく裂したような悪趣味なキャラクター造形、気味の悪い美術などは健在。

しかし、膨大な情報量を誇る原作に対して、どうしてもダイジェスト的にならざるを得なかったストーリーのため、映画としての評価は芳しくなく、興行収入的にも赤字の作品となってしまった。

前述のホドロフスキーは、デヴィッド・リンチ版の『デューン/砂の惑星』が完成したことに大変ショックを受けたらしいが、劇場で見ているうちに、あまりに出来がひどすぎたため逆にうれしくなってしまった、という逸話かある。

これからも続く『デューン/砂の惑星』伝説

2017年、新たに本作のリメイクの企画が発表された。

SF映画の金字塔の一つ『ブレードランナー』の続編『ブレードランナー2049』で監督を務めたドゥニ・ヴィルヌーヴがメガホンを取るというので期待だ。

また同時にそれに続く原作シリーズも映画化の企画がスタートしたという。

新たなるカルト映画が生まれるのか、または傑作となるのか、楽しみに待ちたい。

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