映画評『ダンス・ウィズ・ウルブズ』ケビン・コスナー監督・主演の唯一無二の西部劇!

オオカミ 映画評
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『ダンス・ウィズ・ウルブズ』
原題:Dances with Wolves
監督:ケビン・コスナー
脚本:マイケル・ブレイク
音楽:ジョン・バリー
出演:ケビン・コスナー
   メアリー・マクドネル
   グラハム・グリーン

『ダンス・ウィズ・ウルブズ』イントロダクション

1863年テネシー州、南北戦争の最前線。

両軍はにらみ合い膠着状態にあった。

北軍の中尉ジョン・ダンバー(ケビン・コスナー)は、右足に重傷を負い、切断されるかどうかの瀬戸際だった。

意を決したダンバーは、馬を駆り南軍兵士たちの陣地の前を走り抜ける。

ダンバーに気を取られた南軍は、その隙を突かれ北軍の進撃をうけ、敗走する。

勝利した北軍は、ダンバーを英雄としてたたえ、見返りとして足の治療と勤務地を自由に選ぶ権利を彼に与えた。

ダンバーは「失われる前に辺境(フロンティア)を見ておきたい」と、サウスダコタ州セッジウィック砦の赴任を希望する。

農夫に案内されてたどり着いたセッジウィック砦は見渡す限りの荒野の中で、無人となり、荒れ果てていた。

この砦でダンバーは一人、自給自足の生活を始める。

最初は、味方の援軍が来るまでのつもりだった。

砦の整備を続け、愛馬シスコとの生活に、一匹のオオカミが加わる。

そのオオカミはダンバーには近づきすぎず、決してその手からエサを食べようとしない。

だが、少し離れた丘陵から物珍しげにダンバーを見に来るのだ。

両の前足が白いそのオオカミに、ダンバーは「トゥー・ソックス(二つの靴下)」と名前を付ける。

ダンバーとシスコ、そしてトゥー・ソックスの生活にある日、部外者が介入してくる。

原住民のスー族だ。

スー族は一人で不思議な生活をしている白人ダンバーとの接触の可否を話し合っていたが、結論は出なかった。

そのうちスー族の若者がシスコを盗みに来る。

だがシスコはスー族の若者たちを振り切って、ダンバーのもとに帰ってきた。

ダンバーは原住民との接触を望み、軍服に身を包んでスー族の野営地に向かう。

その道中、大けがを負って倒れている原住民の娘をダンバーは見つけるのだった。

だが彼女の肌は白く、瞳は青かった・・・。

ケビン・コスナー監督・主演の唯一無二の西部劇!『ダンス・ウィズ・ウルブズ』

南北戦争時代を背景に、白人の開拓者に追いやられる原住民の側に立った描写と、壮大な西部の原野の風景。

フロンティアへの郷愁と、人間と大自然の調和を描いたケビン・コスナーの唯一無二の西部劇が『ダンス・ウィズ・ウルブズ』だ。

正直、この映画を西部劇とカテゴライズするにはためらわれるほど、既存の西部劇とは一線を画す。

それまでの西部劇といえば、開拓者を主人公に据えたものや、荒くれ者の銃の撃ち合い、射撃の名手の活躍、そして出てくる原住民といえば、敵か、もし味方だったとしても登場は一人二人、そして彼らは片言の英語でコミュニケーションをとる相手で、白人により征服される対象だった。

ここでいう原住民とは、昔は「インディアン」と呼ばれていた。

『ダンス・ウィズ・ウルブズ』では主人公ダンバー中尉がひとり、スー族と呼ばれる原住民の部族とコミュニケーションを取り、彼らの生活に深く触れ、受け入れられ、最終的には仲間として迎え入れられる。

そんな西部劇はこれまでなかったし、『ダンス・ウィズ・ウルブズ』以降も原住民に溶け込む白人といった作劇をする目立った作品はない。

唯一無二の西部劇なのである。

白人批判という視点で描かれた物語でありながらも、この『ダンス・ウィズ・ウルブズ』はケビン・コスナーという当時トップスターだった彼の初監督作という話題性、壮大なスケール、繊細な演出が称賛を浴び、大ヒット作となった。

そのスケールの大きさから、製作は遅れ、公開はたびたび延期になり、製作費もどんどんかさんでついにはケビン・コスナーの私費をつぎ込むことになったが、その2200万ドルという巨大な製作費はこの大ヒットにより、製作費の10倍近い興行収入を得た。

西部劇映画としてはアメリカでは国内歴代最高の興行収入を記録している。

また、アカデミー賞でも作品賞と監督賞を受賞。

ケビン・コスナーは監督としてもその地位を確立した。

上映時間は3時間とやや長いが、その壮大さとストーリーに見合っただけのものであり、アメリカ映画史のいち頂点であることは間違いない。

それ故に、唯一無二の西部劇と呼ぶにふさわしいのである。

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