映画評『クリムゾン・タイド』米軍原子力潜水艦を舞台に、核攻撃をめぐる男たちの対立をスリリングに描く傑作サスペンス!

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『クリムゾン・タイド』
1995年アメリカ
原題:Crimson Tide
監督:トニー・スコット
脚本:マイケル・シファー
   リチャード・P・ヘンリック
   クエンティン・タランティーノ
   ロバート・タウン
   スティーヴン・ザイリアン
音楽:ハンス・ジマー
出演:デンゼル・ワシントン 
   ジーン・ハックマン
   ジョージ・ズンザ
   ヴィゴ・モーテンセン
   ジェームズ・ガンドルフィーニ
   マット・クレイヴン

『クリムゾン・タイド』イントロダクション

世界で最も力のある三人とは・・・アメリカ大統領とロシア大統領そして・・・アメリカ弾道ミサイル潜水艦の艦長である。

某年某日。

ロシアのチェチェンで発生した紛争は周辺共和国に飛び火し、ロシア大統領は大規模な空爆を反乱拠点へ実施した。

事態を憂慮して米国大統領は英仏と共同でロシアへの援助を停止、超国家主義者のラドチェンコはこの圧力をロシアの主権に対する戦争行為と非難。

露大統領は米国の傀儡だとし、国民に反乱を呼びかけた。

現地時間の火曜日午前10時、ロシア議会は閉鎖、戒厳令が布告された。

危機的状況のなか、ロシアは事実上の内戦状態に突入する。

ラドチェンコ軍はウラジオストクを占拠、海軍基地と核ミサイル基地がラドチェンコの手中に納まる。

ロシア軍はラドチェンコ軍の包囲に動き、周辺国は警戒を強めた。

コーカサス地方から始まった危機は極東に広がり、キューバ危機以来の緊張が高まっていた。

アメリカ政府はこの事態に対し、オハイオ級原子力潜水艦「アラバマ」を出撃させることを決定。

「アラバマ」の艦長で実戦経験豊富なラムジー大佐(ジーン・ハックマン)は、ハーバード大学卒のエリート、ハンター少佐(デンゼル・ワシントン)を副長に迎え、出港する。

ラムジーは自信過剰で放埓な性格で、ペットの犬を艦内に持ち込むなどやりたい放題だったが、上院はみな見て見ぬふり。

しかし、演習中に艦内火災が発生、その対応などを巡ってラムジーとハンターの溝は深まっていった。

出港から6日後、北太平洋を哨戒中の「アラバマ」に指令がとどく。

それは、ラドチェンコの反乱軍が弾道ミサイルに燃料注入を開始、発射を阻止すべく先制攻撃を加えよ、という内容だった。

おりしも、ラドチェンコ軍の潜水艦が「アラバマ」に迫り、攻撃を仕掛けてきた。

敵の魚雷攻撃を何とかかわすものの、通信装置が損傷、受信途中であった新たな指令が途中で途切れてしまう。

この最後の指令分の解釈をめぐり、核ミサイル攻撃を実施するべきだとするラムジー艦長と、指令を再確認するまで攻撃を控えるべきだとするハンター。

二人の対立は、ついに頂点をむかえる・・・。

米軍原子力潜水艦を舞台に、核攻撃をめぐる男たちの対立をスリリングに描く傑作サスペンス!『クリムゾン・タイド』

デンゼル・ワシントン、ジーン・ハックマンの共演で、トニー・スコット監督が潜水艦という閉鎖空間を舞台に、核攻撃をめぐる男たちの対立をスリリングに描く傑作サスペンス映画。

『眼下の敵』(1957年)や『Uボート』(1981年)、『レッドオクトーバーを追え!』(1990年)など、数が多いとは言えないが潜水艦を舞台にした映画には傑作が多い。

それは潜水艦というクローズドキャプションが必然的にサスペンスの絶好の材料・舞台となるからであり、そこに人間ドラマが複合的に絡まることによって、ストーリーに幅と深みが出るからである。

『クリムゾン・タイド』も、最新の原子力潜水艦にもかかわらず戦闘による通信機の損傷で外界から切り離されるという閉鎖空間での、戦争状態の解釈をめぐる性格の違う二人のリーダーの対立と対決がドラマになっている。

核攻撃を命じた最初の命令をあくまで遂行しようとする戦闘経験豊富なラムジー艦長と、途切れた通信の内容を確認するまで核攻撃はするべきではない、とするエリートだが実戦経験のないハンター副長。

敵潜水艦に襲われるさなか、「アラバマ」の主導権をめぐり二人の攻防が繰り広げられ、我々は息をのみながらその行方を見守ることになる。

核を用意した敵に対して、先制核攻撃をするべきか否か、だが受信途中だった通信の内容がもし、攻撃中止の命令だったら・・・?

確認行為はするべきだが、敵は襲ってくるわ、通信機は故障だわ、敵の核ミサイル発射の時間は迫るわ・・・。

世界情勢の行方は、この映画を観終わるまでのお楽しみ。

さて、実際のところ、こういった非常事態に対するマニュアルは、おそらく軍隊では対応・改定を日々重ねているはずだ。

現在では原子力潜水艦からの核弾道ミサイル発射についての最終命令は、艦長ではなくアメリカ合衆国大統領にのみ、その権限がゆだねられている。

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