映画評『カウボーイ&エイリアン』ビジュアルノベル原作の異色SF西部劇!

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『カウボーイ&エイリアン』
原題: Cowboys & Aliens
2011年アメリカ
監督:ジョン・ファヴロー
主演:ダニエル・クレイグ

『カウボーイ&エイリアン』イントロダクション

アリゾナの荒野で男(ダニエルクレイグ)が目を覚ます・・・。

腹部には撃たれた傷跡があり、左腕には見慣れぬ金属の腕輪。

そばに美女の映った写真が一枚。

明らかに西部劇の文脈ではじまる映像の中に、主人公の左腕の巨大なブレスレットだけが、明らかに異質。

土埃にまみれてはいるが、見るからにSFガジェット。

映画のタイトルが『カウボーイ&エイリアン』なのだから、それを承知でこの映画を観ようと思った人は最初からニヤッとできる。

さて、わけがわからないといった様子の主人公の背後から、馬に乗った3人のカウボーイたちが現れる。

カウボーイたちは主人公を尋問するが、主人公は過去の記憶を、自分の名前すらも忘れてしまっていた。

カウボーイたちは主人公を賞金首かもしれないと銃を向け、連行しようとするが、逆に主人公に殺傷されてしまう。

荒くれ男たち3人に囲まれ、銃を向けられてからのあっという間の逆転アクションは、『007』シリーズのダニエル・クレイグまんまである。

素手から相手の銃を奪い取り、素早く2名射殺、何が起きたか理解できない残りの馬上の1名に素早くとびかかり、拳骨をこれでもかと言わんばかりに叩き込む。

圧倒的戦闘力を見せつける。

殺した3人から衣類と武器、馬を奪うと、主人公は町へと向かった。

町は寂れて活気がない。

町を牛耳るダラーハイド大佐(ハリソン・フォード)のドラ息子パーシー(ポール・ダノ)がわがままにふるまって人々を困らせていた。

パーシーを黙らせる主人公だが、主人公も酒場で取り囲まれ、留置所につながれてしまう。

主人公はジェイク・ロネガンという名で、お尋ね者だったのだ。

夜も更けて、ジェイクとパーシーが連行のために護送車に乗せられた。

そこに、自分の息子を助けるためあらわれるダラーハイド。

ひと悶着も収まらぬうち、今度は遠方の空から光を放ち現れる飛行物体!

飛行物体は怪光線を放ち、町は大混乱、そのうえ、次々に人々がさらわれていった。

そんな中、ジェイクの左腕の謎の腕輪が反応を見せていた。

腕輪が光を放ち、飛行物体の一機を撃ち落とす!

墜落した飛行物体から飛び出す怪物。

翌朝、逃亡した怪物の足跡を追い、さらわれた人々を救出するため、ダラーハイドは救援隊を結成する。

ジェイクにも参加を求めるダラーハイドだったが、ジェイクはおぼろげな記憶をたどり、別途をたどる・・・。

評判はイマイチの『カウボーイ&エイリアン』

主演はダニエル・クレイグだし、ハリソン・フォードも重要な役どころで出演しているし、監督は『アイアンマン』のジョン・ファブロー、製作にはスティーヴン・スピルバーグも名を連ねている超豪華な顔ぶれの本作。

だが評点は辛い。

エイリアンの人間狩りに立ち向かうカウボーイ、という構図はアイデア賞ものだが、いくつもおざなりな点もある。

まず、エイリアンに唯一対抗できる武器である主人公の腕輪が、なぜ彼の腕にあるのか、が説明されていない。

なんとなく知っていそうなヒロインも登場するが、なんの深堀もないまま終わってしまう。

つぎに、エイリアンのデザインが古い。

わざわざ地球にマンハントに来るのであるが、長い爪に大きく避けた口、そこからまたヌメヌメの触手が出てくるクリーチャー・デザイン。

エイリアンを追う一行が、雨の中見つけるボロボロになった帆船(それもさかさまになっている)を見つけるシーンがあるが、それがなぜ荒野にあるのかもわからない。

絵面(えづら)はカッコいいのだが。

絵面優先が悪いとは言わないが、視聴中にそういった設定や物語背景の穴に気が向いてしまうということは、絵のパワー、ベクトルが足りていないということだ。

残念ながら、21世紀のB級映画の烙印を押させてもらおう。

ギャップと切れのあるアクションで楽しみたい『カウボーイ&エイリアン』

とはいえやはり、西部劇+エイリアンという異色の組み合わせは面白い。

意外とこれまで、作られたことのない風合いだ。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』のように、過去の西部劇の時代に主人公が紛れ込む、という西部劇+SF風味はあったけれども、ここまでエイリアンとガチ対決のものは無かった。

しかもダニエル・クレイグという配役がまた良い。

ダニエル・クレイグといえば真っ先に『007』シリーズのジェームズ・ボンド役が頭に浮かぶ。

キレキレの格闘術を見せるアクション俳優だ。

これまでの西部劇のアクションとは全く一線を画す、スピーディなダニエル・クレイグの身のこなし。

そう、この映画は西部劇という昔懐かしさと、エイリアンと戦うダニエル・クレイグというフューチャー・フレーバーの合体を楽しむ作品である。

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