映画評『市民ケーン』鬼才オーソン・ウェルズが25歳で初監督、製作・脚本・主演も務め、謎の言葉を残して死んだ権力者の半生を斬新な映像表現で描く映画史上不朽の名作!

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『市民ケーン』
1941年アメリカ
原題:Citizen Kane
監督:オーソン・ウェルズ
脚本:ハーマン・J・マンキーウィッツ
   オーソン・ウェルズ
音楽:バーナード・ハーマン
出演:オーソン・ウェルズ
   ジョセフ・コットン
   ドロシー・カミンゴア
   エヴェレット・スローン
   レイ・コリンズ
   ジョージ・クールリス
   アグネス・ムーアヘッド
   ポール・スチュアート
   ルース・ウォリック
   アースキン・サンフォード
   ウィリアム・アランド
   ハリー・シャノン
   フィリップ・ヴァン・ツァント

『市民ケーン』イントロダクション

1941年、アメリカ。

暗く、手入れもされていないような荒れ果てた大邸宅“ザナドゥ”の主チャールズ・F・ケーン(オーソン・ウェルズ)はその一部屋で今、息を引き取ろうとしていた。

ケーンはかつて37の新聞社と二つのラジオ局を傘下に収めたメディア王だった。

ケーンは小さなスノードームを握りしめ、「バラのつぼみ」という謎の言葉をのこして息を引き取る。

このケーンの死を報道するニュース映像を作っていたある製作会社が、ケーンの生涯をまとめたニュース映画を製作しようとするが、ありきたりな内容に不満を持った経営者のロールストン(フィリップ・ヴァン・ツァント)は、もっとケーンの人間性に迫るべきだと考える。

そこでロールストンはケーンの今際の言葉「バラのつぼみ」という言葉の意味になにかあるはずだと考え、部下のジュリー・トンプソン(ウィリアム・アランド)にケーンの生涯を取材するよう命じる。

トンプソンは、ケーンに近しかった5人の人物、すなわち2番目のケーンの妻で元歌手のスーザン・アレクサンダー(ドロシー・カミンゴア)、後見人の銀行家サッチャー(ジョージ・クールリス)、ケーンの旧友かつ新聞社「インクワイラー」のパートナーでもあったバーンステイン(エヴェレット・スローン)とジェディエッドアイア・リーランド(ジョセフ・コットン)、そして“ザナドゥ”の執事だったレイモンド(ポール・スチュアート)らを順に訪ねながら、ケーンの歴史を紐解いていく。

ケーンはコロラドにある小さな宿屋で育った。

あるとき、宿賃が払えなかった客が、代わりにおいていったボロ鉱山の権利書が、のちに実は大変な価値があることがわかり、名義人のケーンの母親メアリー(アグネス・ムーアヘッド)は大金持ちとなる。

メアリーは反対する夫ジム(ハリー・シャノン)の説得も聞かず、息子のケーンをニューヨークの銀行家サッチャーのもとに預け、彼に運用を任せた資産をケーンが25歳になった時にすべて相続させることを決める。

そうして幼いケーンは両親から無理やり話され、ニューヨークで育つことになったのだった。

やがて25歳になったケーンは、莫大な資産を相続し、友人のバーンステインとリーランドとともに、新聞社「インクワイラー」を買収し、その経営に乗り出した・・・。


鬼才オーソン・ウェルズが25歳で初監督、製作・脚本・主演も務め、謎の言葉を残して死んだ権力者の半生を斬新な映像表現で描く映画史上不朽の名作!『市民ケーン』

巨大な富を手にしながらも、孤独に死んでいったメディア王ケーンが最後に遺した「バラのつぼみ」という言葉。

この言葉の謎を解くべく、ひとりの記者がケーンの生涯を追っていく。

ラジオ放送『宇宙戦争』で大ヒットを飛ばした鬼才オーソン・ウェルズが、弱冠25歳の若さではじめて監督・製作・脚本・主演をつとめ、斬新な映像表現で孤独な権力者の半生を描いた不朽の名作。

陰影を強く生かしたり、ローアングルからなる印象的な画作りなど、けして前例がなかったわけではないが、そのセンスの良いカットの数々はもはや教科書レベル。

役者の演技を生かす長回しのカットも、けして冗長になることがないのも、その構図の良さからであろう。

また、直接的にケーンの生涯を描くのではなく、記者の取材と知人縁者たちの記憶をたどるという凝った構成もまたテクニカルでハマっている。

それがやや難解な印象でもあり、高い評価を受ける一方、この映画を苦手とする人もいるかもしれない。

しかしオーソン・ウェルズといえば『宇宙戦争』と『市民ケーン』、『市民ケーン』といえば映画史不朽の名作なのだ。


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