映画評『キャスト・アウェイ』ロバート・ゼメキス&トム・ハンクス!無人島に流れ着いた男のたった一人のサバイバルを描く

カチンコ 映画評
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『キャスト・アウェイ』
2000年アメリカ
原題:Cast Away
監督:ロバート・ゼメキス
脚本:ウィリアム・ブロイルズ・ジュニア
音楽:アラン・シルヴェストリ
出演:トム・ハンクス
   ヘレン・ハント
   ニック・サーシー

『キャスト・アウェイ』イントロダクション

1995年の12月。

チャック・ノーランド(トム・ハンクス)は、運送宅配業者フェデックスの物流倉庫で生産性を上げるために世界中を飛び回るシステムエンジニアだった。

ぽかんと演説をぶつチャックを見つめるモスクワの倉庫の作業員たち(通訳があいだに入っている)のまえで、チャックは叫ぶ。

「時間を守らねば“時”という主人は容赦なく我々の職を奪う!」

通訳が余計な説明を入れる「配達のトラックが故障した時、子供の自転車を盗んで配達した人だ」と。

「借りたんだよ、荷物を運ぶために。さあ、あと3時間2分以内にここの荷物をトラックに積み、空港に送り込むんだ!」

取って返して飛行機でアメリカのメンフィスに戻ったチャックは親族とクリスマスを過ごしていた。

恋人のケリー・フレアーズ(ヘレン・ハント)とはもう長い仲だ。

その最中にポケベルが鳴る。

マレーシアでのトラブル解決のために召集を受けたのだ。

大急ぎでチャックが乗った貨物機はしかし、おりからの悪天候のため太平洋に墜落してしまう。

沈みゆく貨物機から、たった一人助かったチャックは、緊急用の救命ボートに乗り込んだところで気を失ってしまう。

一夜が明けたころ、チャックが気づくと、ひとけのない島の海岸に漂着していた。

そこは、クック諸島の南方600マイル、誰も近寄らぬ無人島だった・・・。

ロバート・ゼメキス&トム・ハンクス!無人島に流れ着いた男のたった一人のサバイバルを描く『キャスト・アウェイ』(ややネタバレ有)

ロバート・ゼメキス監督とトム・ハンクスが、『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994年)以来となる2度目のタッグで送る、無人島サバイバル映画。

トム・ハンクスが役作りのため22.7㎏の減量をしての迫真の演技で、第58回ゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞した。

なにせ無人島での文明ゼロの状態で生き抜かねばならないのである。

食料の確保はもちろん、火をおこすのでさえ一苦労どころではないさまが描かれる。

飲み水も、植物の葉にたまった露を集めて飲むのである。

ただ、主人公と一緒に墜落機から落ちた積荷も海岸には漂着しているが、スケート靴とか、女性のドレスとか、ビデオカセットテ―プとか、生き延びるためには役に立たないものばかり。

同時に漂着するパイロットの遺体も、埋葬するしかない。

頭髪とひげだけは伸びるが、主人公の体はガリガリにやせ細る。

2000年の映画なので、CG加工できないこともなかったろうが、トム・ハンクスは実際に体重を落として役にあたった。

そして主人公はなんと4年間、島の不便な暮らしに何とか適応して生き延びるのである。

それからあるきっかけで主人公は島からの脱出を試み、成功する。

大海原で動けなくなったころ、通りかかったタンカーに助けられて人間社会に戻ることができるのであるが、映画はそこでハッピーエンド、とはならない。

主人公は死んだものと思われていたので、彼との関係者たち・・・特に彼の恋人との関係は、大きく変わってしまっていた。

かつてフェデックスでシステム・エンジニアをやっていた主人公はまた、贅沢な飽食の文化にも違和感を覚え、生き方を模索することをにおわせるところで映画は終わる。

漂流ものとして着目されるこの作品ではあるが、監督はじめ制作陣が本当に描きたかったのはこの後半のメッセージだろう。

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