映画評『ブロークバック・マウンテン』同性愛への偏見と差別が色濃く残る1960年代のアメリカ社会で、許されない愛に苦悩するカウボーイ2人を描く、2000年代を代表するLGBT映画

夕焼けとカウボーイ 映画評
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『ブロークバック・マウンテン』
2005年アメリカ
原題:Brokeback Mountain
監督:アン・リー
脚本:ラリー・マクマートリー
   ダイアナ・オサナ
原作:E・アニー・プルー
音楽:グスターボ・サンタオラヤ
出演:ヒース・レジャー
   ジェイク・ギレンホール
   アン・ハサウェイ
   ミシェル・ウィリアムズ
   ランディ・クエイド
   リンダ・カーデリーニ
   アンナ・ファリス
   ケイト・マーラ

『ブロークバック・マウンテン』イントロダクション

1963年、夏のワイオミング州。

ブロークバック・マウンテンの農牧場主で、季節労働者を雇うアギーレ(ランディ・クエイド)のオフィスの前に、二人のカウボーイの若者が現れる。

ふたりは仕事を求めてきた季節労働者だった。

ヒッチハイクで降り立ったのは、イニス・デルマー(ヒース・レジャー)。

トラックで乗り付けたのはジャック・ツイスト(ジェイク・ギレンホール)。

ふたりはまったく言葉を交わさないままだ。

待ったあげくようやく現れたアギーレが、勿体つけて二人をようやく事務所に入れる。

ふたりに言い渡された仕事は、ブローバック・マウンテンでの羊の放牧の見張り番で、ひとりは森林局の指定する野営区でテントを張り、羊の監視をすること。

もうひとりは夜になったら野営区から5キロほど離れた放牧地で羊の監視をすること。

こういう指示を受ける。

山には羊を狙う獣が多く、昨年も甚大な被害が出ていたという。

ジャックは去年もこの仕事をしており、夜の監視の仕事を引き受ける。

イニスは食事作りを担当し、朝は朝食の用意をしてジャックを待つ。

仕事をはじめてからしばらくたって、ジャックが疲れを見せ始めたため、イニスが夜の監視に出るようになった。

最初はよそよそしかった二人だったが、酒を飲んで身の上話をするようになると、ふたりは・・・特に最初ジャックに距離を置いていたイニスは、心を開いていく。

ある晩、イニスは酒を飲みすぎ、監視に出ることができず、野営区でひと眠りすることにする。

最初、テントの外で眠っていたイニスだったが、夜の寒さに耐えきれず、ジャックとテントの中で寝ようとする。

そこで、ジャックが誘いをかける。

イニスを抱き寄せ、最初は拒んでいたイニスだったが、最終的にはふたりは一線を越えてしまう・・・。


同性愛への偏見と差別が色濃く残る1960年代のアメリカ社会で、許されない愛に苦悩するカウボーイ2人を描く、2000年代を代表するLGBT映画『ブロークバック・マウンテン』

原作はE・アニー・プルーの同名短編小説。

アメリカ中西部を主な舞台として、1963年から1983年までの約20年間にわたり惹かれあう二人の男性の姿を描いた2000年代を代表するLGBT映画。

監督のアン・リーがこの映画を「普遍的なラブストーリー」と強調するように、真摯に描いた愛のテーマは広く受け入れられ、高い評価を得ている。

2005年のヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞、ゴールデングローブ賞では作品賞(ドラマ部門)、監督賞、脚本賞、主題歌賞を受賞、2006年のアカデミー賞においては監督賞、脚色賞、作曲賞を受賞している。

同性愛への偏見と差別がまだ色濃く残る1960年代のアメリカ社会で、許されない愛に苦悩するカウボーイふたりの心象が繊細に表現されており、前述の監督の言葉通り、恋愛映画として胸打たれる秀作だ。


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