『アルゲリッチ 私こそ、音楽!』
2012年フランス・スイス
原題:ARGERICH
監督:ステファニー・アルゲリッチ
出演:マルタ・アルゲリッチ
スティーブン・コバセビッチ
ロバート・チェン
シャルル・デュトワ
ステファニー・アルゲリッチ
『アルゲリッチ 私こそ、音楽!』イントロダクション
シーンはある女性の出産から始まる。
その女性はステファニー・アルゲリッチ、この映画の監督・撮影をつとめ、世界的ピアニスト、マルタ・アルゲリッチの三女である。
ステファニーは男の子を無事出産し、付き添っていた老女・・・マルタ・アルゲリッチが孫の誕生を喜んだ。
マルタ・アルゲリッチはアルゼンチンの出身で、過去数多くの賞に輝いてきた伝説的なピアニストである。
とくに、マルタがショパン国際ピアノコンクールで第1位とマズルカ賞に輝いたときは、「南米出身ながらショパンの心を解する」とまで評され、現在でも精力的に音楽活動を続けている。
いっぽう、私生活では恋に奔放で、三人の娘リダ、アニー、ステファニーは、それぞれ皆父親が違っている。
また、マルタはほぼいっさいのマスコミの取材を拒否し続け、その私生活は謎に包まれていた。
ステファニーが母親の知られざる姿に迫るため、マルタの私生活に密着し始めたのは、ステファニー自身が出産する前のこと。
まずステファニーは、自分を妊娠していた時のことをマルタに質問する。
マルタは記憶をたどり、笑い出すと、「夜のガスパールを録音していた」と思い返した。
マルタが言うには、その時の自分はいつもの自分ではないような感覚だったと。
そして、ステファニー出産後にその「夜のガスパール」の録音を聞き返すと、「妊娠中の主婦みたいな音」といって泣いた、という。
その後、ステファニーはマルタの演奏旅行に同行する。
ポーランドのワルシャワ。
今回の演奏会でマルタが弾くことになったのは、ショパンのピアノ協奏曲第1番。
リハーサルでマルタは、「もっと違った風に弾きたい。でも、どうすればいいかわからない」
そう指揮者に訴え、何度もピアノを弾きなおす。
マルタにとってショパンは特別な存在であり、ショパンの生まれ故郷での演奏は、大きな意味を持っていた・・・。
世界的ピアニスト、マルタ・アルゲリッチの素顔に迫るドキュメンタリー。実娘のステファニーが監督、撮影を手掛け、マルタの知られざる姿を映し出す。『アルゲリッチ 私こそ、音楽!』
世界最高のピアニスト、マルタ・アルゲリッチ。
子供のころから稀有な才能を発揮し、24歳の時ショパン国際ピアノコンクールで優勝、以降、クラシック界の「女神」として君臨し続ける。
しかし、急な演奏会のキャンセル、一切の取材拒否、父親違いの三人の娘・・・など、その私生活はスキャンダラスで謎に満ちている。
彼女はいかにして“生ける伝説”となったのか。
ピアニストとして、母として、誰も知らなかったアルゲリッチの見せる葛藤とは。
実の娘がカメラを向け、天才を母に持つ三人の娘たちの視点から彼女の真の姿をあぶりだす。
一見特別に見える家族の姿は、やがて普遍的な家族の問題と重なり、人々の共感を生む。
マルタ・アルゲリッチの名を知らず、クラシック音楽にあまり縁がないという方でも、この家族の物語を見ていて感じるところはあるだろう。
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