映画評『パーフェクト・ワールド』ケビン・コスナーとクリント・イーストウッドのタッグ作

映写機 映画評
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『パーフェクト・ワールド』
1993年アメリカ
原題:A Perfect World
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ジョン・リー・ハンコック
音楽:レニー・ニーハウス
出演:ケビン・コスナー
   クリント・イーストウッド
   T・J・ローサ―

『パーフェクトワールド』イントロダクション

1963年、アメリカのテキサス州。

ハロウィンの夜だったが、宗派が違う(エホバの証人)フィリップ少年(T・J・ローサ―)は参加できずに家族で家で過ごしていた。

フィリップの家には父親がおらず、母親(ジェニファー・グリフィン)が女手一つでフィリップとその姉妹を育てている。

その夜、刑務所から二人の男が脱走する。

ブッチ・ヘインズ(ケビン・コスナー)とテリー・ピュー(キース・ザラバッカ)の二人は通気口を抜け、刑務所の職員から車を奪い、逃走を始める。

住宅街に逃げ込んだブッチとテリー。

テリーがフィリップの家に目を留め、銃をもって押し入る。

フィリップの母親に銃を向け脅すテリーだったが、汚いことが嫌いなブッチはテリーを蹴倒してフィリップの母親を助ける。

そこに、隣人がライフルを構え助けに入るが、ブッチはフィリップを人質にしてテリーと逃げる。

朝になり、雑貨店で何食わぬ顔で買い物をするブッチ。

その間に、テリーはフィリップを脅かし、畑で追い詰める。

ブッチはテリーを射殺し、フィリップを助けた。

フィリップはブッチについていく。

一方、この事件を担当・指揮することになった警察署長レッド・ガーネット(クリント・イーストウッド)は、ブッチの追跡を開始する。

それに州知事の命令で派遣された犯罪心理学者のサリー・ガーバー(ローラ・ダーン)が随伴する・・・。

ケビン・コスナーとクリント・イーストウッドの共演『パーフェクト・ワールド』

刑務所を脱走した犯罪者と、人質として逃避行を共にするうちに心のきずなが生まれる少年のヒューマンドラマ。

ケビン・コスナーが、少年にはやさしく、しかし一方で平然と強盗を行う犯罪者ブッチを演じている。

ブッチの行動には、彼の生い立ちが絡んでいる。

ブッチは幼いときに、ならず者の父親は家を出ていき、娼婦の母親に娼館で育てられる。

その母親がブッチがまだ少年のときに死んだ際、再び父親があらわれ、ブッチは犯罪に手を染めるようになり、少年院に入れられる。

この過去を語るのが、ブッチを追うガーネット署長なのだが、ブッチが少年院に入るときに事件を担当したのが若き日のガーネットという因縁がある。

このガーネットも、けしてブッチ憎しというわけではなく、ブッチの父親があまりにもひどい人間だったため、保護観察で父親の手元に戻すよりも、少年院で更生してほしいという人情がある人物だ。

ケビン・コスナーとクリント・イーストウッドの共演というところで注目されがちだが、物語は、ブッチとフィリップ少年の、父親がいない二人の心の交流が本筋である。

フィリップ少年は、不意に現れたブッチという男に、次第に父親像を求めたのかもしれない。

また逃亡を図るブッチも、目的地は昔自分の父親がたった一度だけよこした絵葉書の差し出し元のアラスカ。

理想の父親を追っていたのだ。

旅をする間に仮想親子になったブッチとフィリップだが、当然、物語の結末は切ないものとなる。

やがてフィリップは、ブッチとはまた違った人生を歩むのだろう。

旅の中でブッチはそのための人生の教えをフィリップに授けたのだから。

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