われわれ日本人は、中学・高校と、6年間英語の勉強をするのに、どうして英語がペラペラにならないのでしょうか?
最近は小学校からの英語学習も始まっていますし、社会人でも英語を学ぶ人は増えています。
なのに、どうして話せない・・・?
それにはズバリ、二つの理由があります。
- 「話す」トレーニングの時間そのものが少ない
- スピーキングの能力は入試で軽視されている
これから、それぞれ解説します。
1.「話す」トレーニングの時間そのものが少ない

スポーツにたとえるとわかりやすいのですが、例えば、野球でバッターが、ピッチャーが投げてくる球を打つのには、そのためのトレーニングが必要です。
バットをもって素振りだけをしていても、球にバットを当てる練習や、実際に飛んでくる球に合わせてバットを振る練習、ジャストミートしてヒットやホームランになるように打つ練習、つまり実践に即した練習が必要なのはお分かりですよね。
おなじように、英語を「話す」のにも練習が必要です。
単語や熟語をいくら覚えても、構文をいくつ暗記しても、それだけでは英語を話せるようにはならないのです。
単語や熟語、構文といったものを「知識」として蓄えて、学校のテストで点数が取れても、その「知識」は「話す」ための訓練ができていなければ、実際の会話でとっさに使うことはできません。
英語を「話す」には、実際に「話す」トレーニングが必要なのです。
ですが、学校ではなかなかこの「話す」ことについては、トレーニングが後回しにされがちなのが現実です。
学校では「書く」「読む」ことに重点を置いた英語の勉強をしているからです。
「書く」「読む」ことは、教師1 対 生徒数十人という環境でもインプットやアウトプットが比較的やりやすいのに対し、「話す」にはマンツーマンでの学習が理想で、多くても教師1に対して生徒数名です。
また「話す」トレーニングは、図書館や通勤・通学の電車の中などでは、なかなかできません。
「話す」トレーニングは、スポーツと同様、体を使った練習の積み重ねが必要です。
実際に声に出して対話する練習、これができる環境がなかなか見つからないのが「話す」トレーニングが不足する要因のひとつです。
2.スピーキングの能力は入試で軽視されている

ほとんどの日本人にとって、最も英語に真剣に取り組むのはいつでしょうか?
おそらく大学受験を控えた高校三年生あたりでしょう。
この時期にする英語の勉強は、先ほども述べましたが、主に「書く」「読む」そしてオマケ程度に「聴く」です。
大量の生徒を一度に試験するというシステム上、どうしても「話す」ことに関しては試験にしにくい。
これには理由があるのですが、それは「話す」ことが 人 対 人 という行為であることと関係があります。
「話す」ということは、「声に出す」こと以外に、「英作文する」能力も必要です。
そして扱うのが言語である以上、たとえば言い回しが1パターンですむわけではない。
同じ内容を伝えるのに、何パターンも言い回しが存在します。
マークシートで機械的に単一の答えを採点するようにはいかず、非常に効率が悪い。
これが大量の問題を、公平に、スピーディに処理しなければいけない大学入学試験において、「話す」試験が実施しにくい理由です。
だから多くの入試では「話す」問題は出ない。
出ない問題はあまり学校でも重視しないので、「話す」トレーニングをしないのです。
2020年度は見送りになってしまいましたが、大学入学試験でも「話す」問題を取り入れようという動きが出てきました。
今後は「話す」ことにも重点を置いたカリキュラムが学校の授業でも増えるでしょう。
最初でも書きましたが、「話す」にはトレーニングが必要です。
単語や熟語、構文のインプットはもちろん、それらを適宜、適切な場所でアウトプットするという、総合的な英語スキルが求められるのが「話す」ということです。
ただ音楽のように聞き流すだけでは英語はしゃべれるようにはなりませんし、一か月や2か月そこらでの留学で話せるようにもなりません。
長い時間をかけて、しっかりとトレーニングする環境が整えられなければ、どれだけ勉強しても日本人は英語を話せるようにはならないのです。
逆を言えば、ネイティブや日常的に英語をしゃべれる人と、常に会話して「話す」練習をすること。
それもたくさん。
そうすれば英語を話せるようになるわけですね。
こちらの記事もどうぞ!
≫英語の音読学習がもたらす3つの効果
コメント