『ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本』
著:向山淳子+向山貴彦
絵:たかしまてつを
2001年12月20日初版
今回は、英語の勉強を始めたばかりの人や、英語学習につまづいている人のために書かれた、ちょっと面白い本を紹介します。
この本には、難しい文法の専門用語はいっさい使われていません。
英語を、感覚的にわかるようになるために最低限必要なことが、たくさんの図入りで説明されています。
英語の基本の基本のルールが書かれているのです。
いま、英語の初心者や英語の学習でつまずいている人は、ぜったい一読してみるべき。
この本のオビに書かれた著名人の紹介分を引用します。
小沢穂積 氏(翻訳家)
でぶ猫と一緒に遊びながら英語が身につくフシギな絵本。
こんな本ははじめてだ。
受験英語よ、さようなら。
文法のテストよ、さようなら。
本当の英語ってこれだよね。
松岡佑子 氏(翻訳家・同時通訳者)
語学は苦労して学ぶものだと言っているのがいい。
副読本に原初のハリーポッターを推薦しているのも気に入った。
村上龍 氏(作家)
経験から書かれた実に正直な一冊だ。
英語を話す人の感覚が、身体から湧いてくる。
世界一簡単な英語の本の中身

『世界一簡単な英語の本』とはいっても、中で使用されている英文を読むのに、最低限でも中学卒業レベルの語彙力は必要かと思われます。
文法力に関しては、心配ありません。
その文法の最低限必要な知識を、図をつかって説明してくれるからです。
主人公になるのは、ピザが大好きというちょっと変わった猫、タイトルにもなっている『ビッグ・ファット・キャット』と、ピザ屋の主人のエドです。
最初は文章の最も基本的な形を
A → B
という図で説明します。
野暮ですが、あえてここで文法用語をつかって説明してみると、
「A」が主語、「→」が動詞、「B」が目的語です。
SVOの第3文型として習う文のかたちです。
この「A」と「B」は箱として描かれます。
この箱に、いろんなものが入ってきます。
それこそビッグ・ファット・キャットだったりエドだったりです。
それから A → B のバリエーションが出てきます。
A = B です。
基本的にはこの二つの分の形を押さえ、派生形を学びます。
それから長文読解にチャレンジしたり(難しい文章ではありませんから安心)、前置詞(本文中では「前置詞」なんて言葉は使いません)の解説。
私個人的には冠詞「a」と「the」の違いについての説明がわかりやすくて感動しました。
『世界一簡単な英語の本』は英語学習に正直な本

『世界一簡単な英語の本』とうたっていますが、ほんとのところはどうなのでしょうか?
英語学習に近道はない、とよく言われますが、この本でも正直にそう言っています。
一度や二度のみならず、何度もこの本を読みなおすことを勧めています。
英語学習自体については、効果が出るには数か月単位かかるともちゃんと書いてあります。
また、この本の説明は、いわゆる受験英語で教わる英語文法とも少し異なるものです。
ですが、あくまで初心者向けに書かれた本。
個性的なイラストもあいまって、何度も振り返り、読み直すことができると思います。
そして二度目、三度目と読み直すにつれて、また新たな発見があるのです。
英語初心者の人や、英語学習でつまづいている人は、うだうだ悩んでいるくらいなら、まず一度この本を読んでみるべき。
『ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本』
目次
はじめに その前にまず本当のことを
準備編
第一章 準備運動
練習編1
第二章 基本形
第三章 付録
第四章 箱と矢印
練習編2
第五章 化粧品と化粧文
第六章 区切り
第七章 イコール文
第八章 カスタムアレンジ
実践編
第九章 文を読む
第十章 パラグラフを読む
第十一章 物語を読む
応用編
第十二章 特別な化粧品
第十三章 接着剤
おわりに このあとは何をすればいいか
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