双極性障害は躁状態とうつ状態をくり返す病気です。
躁状態は万能感があり、頭の回転も速くなり、体も動き調子が良い状態で病気だとはなかなか気づきません。
しかしうつ状態に転じるや、頭は重くなり、不安感に包まれ、何もできなくなります。
それではうつ期に入りそうなとき、または入ってしまったときにどう過ごせばいいでしょうか。
寝てうつが過ぎるのをひたすら待つのもひとつの手ですが、学校や仕事がある人は毎度なかなかそういうわけにもいきません
この記事ではうつの落ち込みをなるべく和らげる方法を紹介します。
まず、うつの状態とは
身体
・寝つきが悪く途中で目が覚めてしまう、夜眠れない、暗いうちから目が覚める(早朝覚醒)
・何を食べてもおいしさが感じられず、食欲がなく体重が減ってしまう、あるいは食欲が亢進して体重が増えてしまう
・疲れやすく、休んでも疲れがとれない
・動作がゆっくりになる、あるいはじっとしてられない
精神症状
・自分を責めてしまう
・集中できず、決断ができない
・生きていても仕方がない、自殺したいなどと考えてしまう
以上9つの症状のうち、5つ以上が、一日中、二週間以上、毎日出てきていることが確認されたときに、うつ状態と診断される。
(引用:加藤忠史 著『双極性障害【第2版】双極性Ⅰ型・Ⅱ型への対処と治療』より)
事前に鬱に落ち込む予感がするとき、心がけること
○ストレスを予測する
うつ期に入る要因の一つにストレスがあります。
仕事であれば職場で新しい企画が立ち上がり、それの対応に追われるとか、新人が入ってきて教育をしなければならないなどなど、環境に変化がある場合が考えられます。
そういった変化にあたって、事前にどのように変わるのかを頭の中でシミュレーションしておくとよいでしょう。
新企画であなたのポジションはどうなるのでしょうか? 業務内容はなんでしょうか?
新人教育のプログラムはそろっているでしょうか? 新人さんの人格に期待しすぎていないでしょうか?
この期待しすぎというのもポイントかと思います。
都合のいいことばかり考えていると、意に反する事態になった時にストレスを受けます。
期待はほどほどが良いでしょう。
その際には思考がマイナスにならないように気を付けることも大切です。
常に予測を立てて心構えておけば、突然悪い事態に遭遇した時にくらべて、ストレスはだいぶ軽くなるものです。
○生活のリズムを整える
うつ状態になった時は眠りのリズムが崩れていることがよくあります。
意識的に睡眠時間を整えることで、うつ状態がひどくなることを予防する一助になります。
寝る時間とおきる時間をしっかりと設定し(できれば8時間はしっかり寝ましょう)、その時間はたとえ眠くなくても部屋の明かりは消し、布団に入ること。
寝る前に軽くストレッチをしたり、温かい飲み物をゆっくり飲んでリラックスするなど、入眠しやすくなる工夫もするとよいでしょう。
また食事もしっかりバランスよく三度三度取るようにしましょう。
朝食を抜きがちになったり、食欲がないからと言って何も食べないと、メンタル面だけでなく、フィジカルでも体調を崩してしまいます。
うつでは食欲不振の場合と過食の場合が人によってどちらが起きるか違います。
食べすぎも体にはよくないのは言うまでもありません。
○考え方を工夫する
うつ期にはものごとを後ろ向きにとらえがちです。
ものごとには前向きと後ろ向きの両面があります。後ろ向きな考え方に陥ると、同じことでもそれが嫌なことにしか感じられず、ストレスになっていきます。
考え方を工夫するといっても、すぐにはできないと思います。
つらいものごとをまず、その事柄だけ客観的にみて、つぎに良い方向にとらえなおす練習をしておかないと、いざというときになかなかできないことです。
コップに半分入った水を見て、「もう半分しかない」ととらえるか「まだ半分のこってる」ととらえるか。
会社で同僚に挨拶したけど返事が返ってこなかったとき、「嫌われてる」と思うのか「気づかれなかったかな」と思うのか。
新人教育で思ったように新人が仕事をしてくれなかったとき、「物覚えの悪い新人だ」と思うか「教え方でどこか行き届いていないところがあったかな」とプログラムを見直すことができるか。
日々少しずつ、こころの練習をしてみてはいかがでしょうか。
○はやめに病院に行く
現在うつ、もしくは双極性障害の方は、かかりつけの心療内科やメンタルクリニックに早めに行き、薬を調整してもらうのが良いでしょう。
自分の状況を客観的に伝えられるかどうかの見極めにもなります。
そのうえで正しい薬を適宜適量処方してもらう(あるいは処方しなおしてもらう)ことは寛解への早道でもあります。
また、はじめて「自分はうつかもしれない」と気になされた方。
アメリカの統計では、人口の2.2パーセントがうつ病であり、一生に一回以上うつ病になった人の比率は4.8パーセントにのぼるとされているそうです。
こじらせてしまう前に、はやめに医療機関でチェックをうけ、治療する「早期発見・早期対応」に越したことはないのです。
○心が休まる自分なりの方法をあらかじめ見つけておく
暖かいお風呂にゆっくり入る、足湯につかる、など自分なりの対策をあらかじめ見つけておくと良いでしょう。
私の場合は寝る前の10分~15分、ゆっくりお湯を飲みながら足湯につかる方法を取っていました。
足湯は風邪気味のときでも負担をかけず体を温める温浴効果もあります。
仕事帰りに雰囲気のいい喫茶店でゆっくりコーヒーを飲んでみるのも良いかもしれません。
また好きな映画を見るとか、ヨガやスポーツジムで汗を流してみるなど、気分転換を図りましょう。
コツは、気合を入れすぎないことです。
そういった自分なりの「うつ回避法」を実行することで、だいぶ気持ちが変わるでしょう。
今回は以上です。
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