書評『うつ時々、躁』双極性障害、寛解に向けて歩むエッセイ

双極性障害
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『うつ時々、躁 私自身を取り戻す』海空るり著

 2019年1月初版

 ある日突然、うつと診断され、その7年後、双極性障害とわかる。
 筆者の体験をもとに、薬との付き合い方、子育ての悩み、医療者とのかかわりなど具体的につづったエッセイ。

 この本を読んでいてとても他人事とは思えなかった。

 初期のうつとの診断が、数年後双極性障害と診断が変わったこと。

 死にたい、と漠然と感じていた時の底知れぬ不安感。

 会社を辞めなければならなくなったこと。

 抑制できぬ浪費。

 うつ期からの操転の苦しみ。また逆に躁状態からうつになった時の苦しみ。

 体重急増の悩み。

 どれも私自身、経験したことだらけ、共感だらけである。

 他にも妊娠、子育て、患者会や認知行動療法への参加、鍼治療、障害年金の手続き、などなどご苦労の軌跡が書かれている。

 この本は著者の苦闘をつづると同時に、われわれのように同じく双極性障害で悩む読者に有用な情報ももたらしてくれる。

 双極性障害はほんとうに苦しい

 本書にもあるが、うつの時は本人が苦しいし、躁の時は周囲に迷惑をかける。振り返ってまた苦しい思いをする。

 みんなそうなのだ。病を同じくする仲間の一人がこうやって苦境を乗り越えるさまを見せてくれるのは、ほかの患者仲間への大いなる

助けだ。

 巻末に「患者の心得」として

 ①主治医を見つける
 ②病歴をまとめる
 ③薬物療法を受ける
 ④生活リズムを整える
 ⑤病気について学ぶ
 ⑥躁うつのコントロール
 ⑦心理社会的治療を受ける
 ⑧補完代替療法を受ける
 ⑨家族の協力を得る
 ⑩福祉サービスを活用する
 ⑪同病患者との交流

 と、簡潔にまとめられたコラムに目を通すだけでも有益である。

 うつや双極性障害の方に配慮して、本はなるだけ軽量、薄い。

 文字を追うのが重労働な私でも2時間かからず読めた。

 うつや双極性障害を患っていると、どうしても文章を読むのがつらくなる。

 脳を使う作業に非常に疲れてしまうのだ。
 
 最近ようやく、こういった当事者にとって読みやすい本が出てきたのは喜ばしい。

 われわれ患者もただ苦しんでいるだけではなく、寛解したいからだ。

 そのための勉強も、できることなら自分でもしたいと思っている。

 まだ自分で読むのがつらい、というかたは、ご家族に一読してもらうのもいいかもしれない。

 双極性障害を理解するために、理解してもらうために。

 ともに乗り越えよう、そういう一冊だ。
 

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